ザ・ムービーフリーク・モノローグ

過去作を中心に映画の記事を書いていきます。投稿リクエスト募集中です!

レイジング・ブル Raging Bull

89点

レイジング・ブル
1980年

監督 マーティン・スコセッシ
出演 ロバート・デ・ニーロジョー・ペシ、キャシー・モリアーティ、フランク・ヴィンセント
上映時間 129分

 



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1940年代アメリカで活躍したボクサー、元ミドル級世界王者のジェイク・ラモッタの半生を綴った映画。

 

常に前に出る攻撃的なボクシングスタイルで、ジェイクはデビュー以来破竹の勢いで勝ち星を重ねていく。マネジメントを任せている弟のジョーイには、時に言い合いになりながらも全幅の信頼を寄せていた。若く美しい女性を妻に迎え、順調に見えたボクシングキャリアだったが、賭けボクシングを牛耳るマフィアにジェイクは目をつけられる。ジェイクはマフィアを嫌っていたが、ボクシング業界において大きな権力を有しているマフィアとの関係は避けて通れなかった。葛藤の中で時に涙を流しながらも、ついに世界王座への挑戦権を獲得する。

 

この映画は、苦労を重ねてスターダムにのしあがっていく所にカタルシスがあるのは勿論だが、何よりジェイク・ラモッタと言う一人の男の人間模様に見所がある。 『怒れる牡牛』と称されたボクシングスタイル同様、一歩も引かない性格で常に周りと衝突を起こし、時に粗暴と言える程暴れ倒す。それが相手を傷つけ、結果的に自分を傷つける。一見ただの暴れん坊だが、実際は非常に繊細で不器用で、純粋な男でもあるのだ。

正に『ボクサー』と言う言葉が似合いすぎるジェイク・ラモッタの、人間的な深みを主演のロバート・デ・ニーロが最高の演技で魅せている。その演技でアカデミー主演男優賞を受賞。弟ジョーイ役のジョー・ペシとは、この映画の後、名コンビとして多くの名作で共演している。

 

映画ではボクシングで栄光を築き引退するまで、そしてその後スタンドアップコメディアンとして活動するまでの様子を描く。

 

ちなみにジェイク・ラモッタは、史上最高のボクサーとして有名なシュガーレイ・ロビンソンが初めて負けた相手である。それまで40連勝中だった全盛期のシュガーレイ・ロビンソンに、はじめての敗戦を突きつけた。その後も何度となく歴史に残る名勝負を繰り広げている。

 

そんなジェイクは現在、御年95歳でご存命である。

ジョイ Joy

78点

ジョイ
2015年

監督 デビッド・O・ラッセル
出演 ジェニファー・ローレンスロバート・デ・ニーロエドガー・ラミレスブラッドリー・クーパーイザベラ・ロッセリーニ
上映時間 124分

 


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シングルマザーのジョイは、二人の子供と母親、祖母の世話をしながら家事に仕事に毎日大忙し。更に離婚した旦那は未だに居候中。それでも元々頭の切れるジョイは、文句を言いつつも全てを手際よくこなしていた。そんなある日割れたグラスをモップで掃除し、濡れたモップを手で絞った拍子にガラスで手を切ってしまう。小さな頃から発明が好きだったジョイはこの時、手を使わずに絞れるモップの発明を思い付く。材質から構造まで自ら設計し、商品化するため本格的に動き出すのであった。

 

プロットはテンポの良いごく単純なサクセスストーリーで、非常に分かりやすい作りになっている。周りの人間に事あるごとに足を引っ張られながらも、持ち前の負けん気でぐいぐい突き進んでいく主人公は非常に爽快である。

 

だが内容的にはお約束ごとのような要素がほとんどであまり深みは無い。見る人によっては退屈な映画かもしれない。むしろ下手すれば誰が見ても退屈な映画になりかねないが、この作品をうまく成立させてるのは監督デビッド・O・ラッセルの演出力とジェニファー・ローレンスの優れた演技に裏打ちされた存在感である。

 

私は単純にエンターテイメント映画として楽しめたし、感情移入して入り込めた。日本では劇場公開されずにソフトリリースのみだったが、大衆向けではあると思うので勿体ない気がする。

 

ちなみに主人公のジョイ・マンガーノは実在の発明家で、この映画は実話を基に作られている。

 

ビューティフル Biutiful

80点

ビューティフル
2010年

監督 アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ
出演 ハビエル・バルデム、マリセル・アルバレス、アナー・ボウチャイブ、ギレルモ・エストレヤ
上映時間 148分

 


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バロセロナの老朽化が進んだ街で暮らすウスバル(ハビエル・バルデム)は、二人の子供と貧相な暮らしをしていた。移民に労働を紹介しマージンを得ることで生計を立てているが仕事上いざこざが耐えず生活はギリギリ。精神的な病を抱えた元妻にも悩まされる毎日。そんな中、体調不良で病院を訪れると思いもよらぬ症状を宣告される。ウスバルの体は癌に蝕まれており、既に余命が2ヶ月しかないというのだ。突然の事に呆然としながらも、刻々と時間は流れていく。。。

 

この映画の見所は社会的な問題と、余命宣告された現実を背景にした人間ドラマ。飛び込んでくる映像は常に生々しく、その状況や揺れ動く感情を非常に鋭く訴えかけてくる。

常に不安を抱え、過酷な環境の中で暮らす移民難民労働者は、日本人の私からしたらどこか非現実的に見えてしまう所がある。だけどこのような人達は現在も無数に存在していて、深刻化が進む一方なのが現実。この先人類が解決しなければならない大きな問題の一つだ。

 

やや抽象的な表現が多いのでその意味の読み取り方は人それぞれ違うかもしれないが、希望と絶望が同居したこの映画は見終わった後、心の中に何か暖かいものを残してくれる。

 

おすすめですが、深読みが面倒な方には向かないかもしれない。

 

ドント・ブリーズ Don't Breathe

83点

ドント・ブリーズ
2016年

監督 フェデ・アルバレス
出演 ジェーン・レヴィスティーヴン・ラング、ディラン・ミネット、ダニエル・ゾヴァット
上映時間 88分

 


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空き巣窃盗常習犯の三人組が、とある盲目の退役軍人の家に目をつけ実行にうつすが、事態は思いもよらぬ方向へ。。。

 

単純な好アイデアを非常に良い形に磨きあげた良作であり、且つ誰でも楽しめる分かりやすい作りになっている。登場人物もほぼ主要キャスト4人のみで進んでいく。

 

そして物語にもしっかりホラー要素が組み込まれており、一筋縄に終わらせない強烈なインパクトも持ち合わせている。あまり情報を仕入れず見た方が楽しめる作品だ。

 

文字通り極上のスリルを味わえる映画なので、真っ暗な映画館の大スクリーンで見ていれば最高の臨場感が味わえたでしょう。

製作は巨匠サム・ライミが創設したゴーストハウスピクチャーズで、製作者にもサム・ライミの名がクレジットされている。

 

アリスのままで Still Alice

80点

アリスのままで
2014年

監督 リチャード・グラツァー、ワッシュ・ウェストモアランド
出演 ジュリアン・ムーアアレック・ボールドウィンクリステン・スチュワートケイト・ボスワース、ハンター・パリッシュ
上映時間 101分

 


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大学教授のアリスは、医師の夫と三人の子供を持ち、裕福で円満な暮らしをしていた。所がある日、頻繁な物忘れやいつも通る道で迷子になってしまう自分に違和感を感じ始め、医師の診断を受ける事に。すると若年性アルツハイマーであることが発覚する。

 

アルツハイマーと言う病名は広く知られているが、その残酷さを深く考えたことがない人も多いのではないだろうか。この映画を見るとその病気がいかに怖いものか、そして記憶と言うものがどれほど尊くかけがえのないものなのかが分かる。アルツハイマーは頭の良い人程、進行が早いと言う。皮肉にも有能な大学教授として教鞭を振るっていたアリスは、病気の進行が早く、日に日に病状は悪化していく。

 

それでも強くあり続け周りに支えられながら病気と闘うアリスと、無情に進行する病気の残酷さにとても心を揺さぶられる。しかしこの映画には、様々な人の深い愛が随所に描かれている。 それを表すのに十分な役者陣の演技が、この映画を感動的な作品に仕上げているのは確か。途中アリスの演説のシーンには思わずホロリときた。

 

主演のジュリアン・ムーアはこの映画で、これまでノミネートまでだったアカデミー主演女優賞を受賞した。

バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡) Birdman or (The Unexpected Virtue of Ignorance)

85点

バードマン あるいは (無知がもたらす予期せぬ奇跡) 2014年

監督 アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ
出演 マイケル・キートンザック・ガリフィアナキスエドワード・ノートンエマ・ストーンナオミ・ワッツ
上映時間 119分

 

 
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落ちぶれたかつてのハリウッドスターが、再起を目指しブロードウェイに挑戦する物語。主役のマイケル・キートンをそのままパロディにするかのような設定は皮肉のようでもあるが、正にはまり役で哀愁漂う老年役者を最高の演技で魅せている。
ほぼワンカットかと思わせるような超長回しの巧みなカメラワークが特徴的。BGMには多彩なリズムのジャズドラムが使われていて、映像とあいまって画面に没頭させてくれる。笑いあり涙ありのドタバタ人間ドラマ。

#バードマン #マイケルキートン
#イニャリトゥ #エドワードノートン #映画評論 #映画好きな人と繋がりたい

レヴェナント -蘇りし者- The Revenant

86点

レヴェナント -蘇りし者-

2016年
監督 アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ
出演 レオナルド・ディカプリオトム・ハーディ、ドーナル・グリーソン、ウィル・ポールター、フォレスト・グッドラック
上映時間 156分

 


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1800年代初頭のアメリカに実在した探検家、ヒュー・グラスの半生を描いた映画。一部脚色はあれど、絶体絶命の状況に陥りながら生還した主人公の実話を基にしている。

ヒュー・グラスを演じたレオナルド・ディカプリオは、鬼気迫る演技で初のアカデミー主演男優賞を受賞した。終始見事な演技を披露しているが、特にヒグマに襲われるシーンは圧巻。そのシーンがあるだけでも見る価値のある映画だ。また主演男優賞の他にアカデミー監督賞、撮影賞を受賞。

 

音楽では坂本龍一が参加している。プロットは単純ながら、森や山、極寒の自然が持つ恐ろしさを美しい風景と共にリアルに写し出している。